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高松地方裁判所 昭和61年(ワ)525号 判決

原告

田中豊

右訴訟代理人弁護士

三野秀富

仙谷由人

被告

光洋精工株式会社

右代表者代表取締役

坪井珍彦

右訴訟代理人弁護士

門間進

角源三

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金一四四二万一〇〇〇円及びこれに対する昭和六一年一二月五日から支払ずみまで年六分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  主文同旨

2  担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、昭和六年一〇月五日生まれで、昭和二五年一二月一四日各種ベアリング及びその部品の製造販売等を業とする株式会社である被告(以下「被告会社」ということもある。)に雇用され、爾来被告の高松工場で勤務し、昭和六一年一〇月五日満五五歳となった。

2  原告は、全国金属労働組合光洋精工支部(以下「支部組合」という。)に所属する組合員であるところ、支部組合は、昭和五七年四月一日、被告との間で別紙1「組合員の定年に関する覚書」のとおりの内容の労働協約(以下「本件協約」という。)を締結した。

3  本件協約において、支部組合と被告は、支部組合員の定年年齢についてはその第一条で、「満六〇歳とし、誕生日の月末を退職日とする」旨定める一方、退職金の支払については、第二条で「満五五歳到達時」すなわち満五五歳の誕生日当日に支給されるものとする旨合意した。

4  被告は、その就業規則第五三条の規定に基づき、別紙2「退職慰労金支給規定」のとおりの退職金規定(以下「退職金規定」という。)を制定し、実施している。

5  退職金規定によって原告の退職金額を計算すると次のとおり金一四四二万一〇〇〇円となる。

(一) 基礎賃金 金二八万〇五八〇円

内訳

本人給 二六万二七七五円

職能給・加給 六一二五円

業績給 一万〇六八〇円

家族手当 一〇〇〇円

(二) 勤続支給率 四二・八三(原告の勤続期間は、昭和二五年一二月一四日から昭和六一年一〇月五日までの三五年九か月と二一日であるが、一か月未満は一五日以上切上げとなるため退職金支給に関する勤続期間は三五年一〇か月となる。したがってこれに対応する支給率は四二・八三となる。)

(三) 事由別支給率 一二〇パーセント

(四) したがって原告が支給を受けるべき退職金額は、右(一)、(二)、(三)の各値を乗じた金額である金一四四二万〇六八九円の一〇〇〇円未満を切上げた値である金一四四二万一〇〇〇円となる。

よって、原告は、被告に対し、右退職金一四四二万一〇〇〇円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和六一年一二月五日から支払ずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1、2の事実は認める。

2  同3については、本件協約において、支部組合と被告が支部組合員の退職金は満五五歳の誕生日当日に支給されるものとする旨合意したとの事実は否認するが、その余の事実は認める。

本件協約第二条に規定する「満五五歳到達時」とは、これまでの被告における運用実態からすると、原告主張のように満五五歳の誕生日当日を指すのではなく、満五五歳の誕生日の属する月の末日を指すのである。したがって、原告の「満五五歳到達時」とは、昭和六一年一〇月五日ではなく、同月三一日である。

3  同4の事実は認める。

4  同5について

仮に、本件協約に基づき、原告に退職金が支払われるとした場合、退職金規定によって原告の退職金額を計算すると、その額は次のとおり金一四四六万一〇〇〇円となる。

(一) 基礎賃金 金二八万〇七六四円

内訳

本人給 二六万二七七五円

職能給・加給 六一二五円

業績給 一万〇八六四円

(原告の主張と異る。)

家族手当 一〇〇〇円

(二) 勤続支給率 四二・九二(原告の主張と異る。原告の入社日は昭和二五年一二月一四日であり、本件協約第二条にいう「満五五歳到達時」とは、昭和六一年一〇月三一日であるから、原告の勤続期間は三五年一〇か月と一八日となるところ、一か月未満は一五日以上切上げとなるため、退職金支給に関する勤続期間は三五年一一か月となる。したがってこれに対応する支給率は四二・九二となる。)

(三) 事由別支給率 一二〇パーセント

(四) したがって、原告の退職金額は、右(一)、(二)、(三)の各値を乗じた金額である金一四四六万〇四六八円の一〇〇〇円未満を切上げた値である金一四四六万一〇〇〇円となる。

三  抗弁

1  本件協約には有効期間の定めがないところ、被告は、昭和六一年七月三一日、労組法一五条三項、四項に則り、支部組合に対し本件協約のうち第二条の「退職金の支払い」の条項を同年一〇月三〇日付けで解約する旨予告した。

2  右昭和六一年一〇月三〇日が経過した。

よって、原告の満五五歳の誕生日の属する月の末日到達前(その前日)である昭和六一年一〇月三〇日をもって、本件協約のうち第二条の「退職金の支払い」の条項は失効した。

四  抗弁に対する認否

抗弁事実はすべて認める。原告は、被告による右のような本件協約の一部についての一方的解約の有効性については争わないが、原告の被告に対する本件協約第二条に基づく退職金請求権は原告の満五五歳の誕生日当日である昭和六一年一〇月五日に発生しているのであるから、被告の右抗弁は主張自体失当である。

第三証拠(略)

理由

一  請求原因1、2の事実及び同3の事実のうち原告の指摘する本件協約上の文言については当事者間に争いがない。

二  そこで、同3のうち本件協約第二条にいう「満五五歳到達時」との文言の意味、すなわち本件協約第二条において合意された退職金請求権の発生時期について検討する。

1  (証拠略)によると次の事実を認めることができる。

(一)  被告では、昭和五〇年一月までは従業員について満五五歳定年制をとり、定年退職金については、満五五歳の誕生日の属する月の末日をもって定年退職の日とし、この日までの勤続年数を基準にして退職金額を計算し、かつこの日に当該従業員に退職金請求権が発生するものとの取扱いをしてきた(被告における退職金についてのこのような取扱いを、以下単に「退職金についての従前の取扱い」ということもある。)。

(二)  被告は、昭和五〇年一月になって、支部組合及びこのころ結成された新組合である光洋精工労働組合(以下「光洋労組」という。)との話し合いの結果、従業員が希望すれば定年を一年延長する取扱いをする旨の事実上の満五六歳定年制へと移行した。ところが、定年退職金については、従前どおり満五五歳の誕生日の属する月の末日をもって定年退職の日とし、この日までの勤続年数を基準にして退職金額を計算し、かつこの日に退職金請求権が発生するものとの従前の取扱いを維持することとし、これ以降本件協約締結に至るまで、被告においては在職中の従業員に対し、右のようにして算出された退職金を、当該従業員の満五五歳の誕生日の属する月の末日以降に支払うとの取扱いを継続してきた(もっとも、支部組合には、この間、右退職金の支給を受けた組合員はいない。)。そして、被告では、昭和五四年六月五日に改訂した就業規則(〈証拠略〉)のうえでも、その第五四条において「定年は満五五歳とし、定年に達した月の末日をもって退職とする。但し、延長を希望する者は満五六歳定年とするが、退職金については満五五歳時点で定年退職として退職慰労金規定により計算支給する。」との規定をおいている。

(三)  支部組合では、右事実上の五六歳定年制へ移行した昭和五〇年以降も、更に、六〇歳定年制への移行を目ざして、被告に対してその旨の要求を繰り返してきたが、被告は、五六歳以降については二年間の再雇用制度を実施していることもあり、六〇歳定年制への移行はできないとして、右要求を拒否してきた。

(四)  ところが、昭和五五年四月になると、被告は、「六〇歳定年を前提に労使で委員会を設置し、昭和五六年三月までに結論を出したい」旨表明し、六〇歳までの定年延長について前向きの姿勢を示すようになった。そして、光洋労組との間では六〇歳までの定年延長についての合意が成立し、昭和五六年四月一日以降同労組所属組合員については六〇歳定年制へと移行することになったが、支部組合との間では右の昭和五六年四月一日になっても合意に至らなかった。

(五)  そこで、被告は、昭和五六年四月二日の団体交渉の席上支部組合に対し、別紙3「定年延長回答別表」(以下「本件回答書」という。)を交付して、同組合からの定年延長要求への回答を示した。被告作成の本件回答書には、別紙3の赤線を付した部分の記載はなく、したがって退職金の支払いに関しては何らの記述がなかったことから、団体交渉に出席していた支部組合書記長の脇卓司(以下「脇」という。)が被告側に対し、右の点を問い質したところ、被告側から退職金は当面五五歳で支払う旨の回答があったので、脇は、これを了解し、本件回答書に「退職金は当面五五歳支払」と記入し、それ以上退職金がいつの時点を退職日として算定され、いつ支払われるのかの点についての具体的な質疑が行われることはなかった。そしてその後の労使の交渉の関心は、専ら本件回答書の別表2「定年延長後の賃金の取扱い」とりわけ、満五六歳の誕生日の月末時点で本給を改訂し、基本給と能率給基準部分及び満五五歳時の職務給の合計額の八〇パーセントを新本給とするとの点に集中した。

(六)  その後本件回答書をめぐって被告と支部組合は約一〇回位交渉を重ねたが、そこでの交渉の中心議題も右の定年延長後の賃金の取扱いの点であって、支部組合としては、五六歳以降賃金がそれまでの額の八〇パーセントに低下することを最大の問題点とし、被告に対しこの点についての譲歩を要求し続けた。しかし、被告は光洋労組との間では本件回答書に沿った形での合意が成立し、既に昭和五六年四月一日から六〇歳定年制へ移行していたこともあり、支部組合の要求に対する拒否の姿勢が強く、一年近くに及んだ交渉によってもこの点の歩み寄りがみられなかった。しかも一方では支部組合においても、当時五四歳の組合員が二人いるなど高齢者を抱えていたこともあり、支部組合では、やむなく被告から示された本件回答書に沿う形で、昭和五七年四月一日被告との間で本件協約を締結するに至った。この間の交渉における主な議題は、右のとおり定年延長後の賃金の問題であって、退職金の支払については既に被告が当面五五歳で支払う旨回答していたことで決着しており、それ以上具体的につっ込んだ交渉が行なわれることはなく、支部組合の方から退職金の支払について退職金についての従前の取扱いを変更し、満五五歳の誕生日の属する月の末日ではなく、満五五歳の誕生日当日にしてほしいといった要求が出されるということは全くなかった。

(七)  本件協約の文案は、被告の本件協約締結当時の労務課長川口宏和(以下「川口」という。)が起案し、支部組合に提示したものであるが、本件協約の第二条の退職金の支払いの条項については、その〈2〉について、当初の文案には「暫定的に支払う」との文言が入っていたのが支部組合側の要求によりこれが削除された外は文案どおり成案となったものであり、その際本件の争点となっている「満五五歳到達時」という文言の意味、解釈について支部組合から疑問が呈されることは全くなかった。

被告は、本件協約締結に際し、退職金の支払いについては、退職金についての従前の取扱いを変更する意図は全くなく、川口が右文案の起案に際し、他の条項、例えば第三条の「賃金の取扱い」の条項では〈1〉「満五六歳の誕生日の月末時点で本給を改訂し、……」〈2〉「役職に伴う手当は満五五歳の誕生日の翌月以降は原則として支給しない。その他の手当は定年年齢の月末まで継続する。」等と具体的な記載をしたのに対し、本件で問題となっている第二条の「退職金の支払い」の条項では「満五五歳到達時」という表現を使用し、「満五五歳の誕生日の月末」と記載しなかったのも、これまで被告が定年年齢を変更してきた経緯の中で、退職金の支払いについては五五歳定年制の時と同じように退職金についての従前の取扱いに従うことが定着しており、このことが労使間で問題になるとは全く考えていなかったからにほかならない。

(八)  その後被告が抗弁で主張するとおり、昭和六一年七月三一日に、被告は支部組合に対し、同年一〇月三〇日付で本件協約第二条を解約する旨の予告をするに至るのであるが、この間に支部組合所属組合員のうち三名が本件協約の第二条に該当するものとして、被告から退職金の支給を受けている。右各退職金は、いずれも退職金についての従前の取扱いに従って算出し、支給されてきたものであるが、右の取扱いについて支部組合あるいはその組合員から被告に対し、支給時期や金額等について疑義が呈されたことはなかった。

(九)  なお、本件協約第二条の適用によって退職金の支給を受ける者にとっては、同条の「満五五歳到達時」を満五五歳の誕生日当日ではなく、その属する月の末日とすることによって、何らの不利益を受けることはなく、むしろその金額の算定上有利になることがある。すなわち、退職金規定上退職金の勤続期間の計算の仕方が一か月未満の端数については、一五日以上であれば一か月に繰り上げ、一五日未満であれば切り捨てることになっているため、人によっては誕生日当日でなく、その属する月の末日を退職日とされることによって勤続期間が一か月長くなり、その分勤続支給率が高くなるという有利な取扱いを受けることになる。現に原告の場合もこの例である。

以上のとおり認められ、証人脇卓司の証言中、「支部組合としては、本件協約締結の際、その第二条の『満五五歳到達時』は満五五歳の誕生日を迎えた時という意味に解釈していた」というように言う部分は、前記認定の各事実並びに証人川口宏和の証言に照して措信することができず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

2  以上の各事実、ことに被告における退職金支払に関する従前の取扱い、本件協約締結に至るまでの労使交渉の経緯、就中退職金の支払については当面五五歳支払ということが確認されただけで決着し、それ以上この点について何らの交渉の対象にもならなかったこと、本件協約締結後も退職金についての従前の取扱いどおりの退職金支給がなされ、しかもそのことについて支部組合側から何らの疑義もなかったこと、更には、本件協約第二条の「五五歳到達時」が誕生日の属する月の末日と解したところで、退職金受給対象者にとっては利益にこそなっても、具体的な退職金請求権の発生時点が若干遅れる点を除けば何らの不利益にもならないことなどの諸点を総合すると、本件協約第二条にいう「満五五歳到達時」とは、満五五歳の誕生日の属する月の末日を指すものとして、本件協約が締結されたものと認めるのが相当である。

他に右認定を左右し、本件協約において、退職金の支払について満五五歳の誕生日当日とする旨の合意がなされたとの事実を認めるに足る証拠はない。

三  結論

以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 水島和男)

(別紙1) 組合員の定年に関する覚書

光洋精工株式会社と全国金属労働組合光洋精工支部は、組合員の定年に関し、次のとおり覚書を締結する。

一、定年年令

満六〇才とし、誕生日の月末を退職日とする。

ただし、満六〇才定年への移行については、次の段階延長方式を採用する。

〈省略〉

・S.五七年度に満五六才を迎える者は、満五九才の誕生日の月末で定年とし、希望があれば満六〇才までの一年間再雇用する。

・S.五七年度に満五五才を迎える者ならびにそれ以降は、満六〇才の誕生日の月末で定年とする。

二、退職金の支払い

〈1〉 当面は満五五才到達時点で打ち切り支給し、それ以降の勤続期間は支給しない。

〈2〉 退職金は、本来的には定年退職時に支払うべきものであるが、組合員の要望、生活設計を考え、満五五歳到達時とする。

三、賃金の取扱い

〈1〉 満五六才の誕生日の月末時点で本給を改訂し、満五六才時の基本給と能率給基準部分及び満五五才時の職務給(基準内)の合計額の八〇%を新本給とする。

〈2〉 役職に伴う手当は満五五才の誕生日の翌月以降は原則として支給しない。その他の手当は定年年令の月末まで継続する。

〈3〉 満五六才以降の昇給を平均昇給率の八〇%とする。

〈4〉 満五六才以降の賞与を平均支給率の八〇%とする。

四、その他人事上の取扱い

〈1〉 身分は定年年令まで正従業員とし、定年延長前に組合員の者は組合員として取扱う。

〈2〉 業務内容は定年延長の前後においても基本的には変化しない。

〈3〉 役職は満五五才の誕生日の翌月以降は原則として離れるものとし、それ以降の業務内容は本人の能力、経験等を総合的に勘案して適正に配置するものとする。

五、S.五七年度に満五六才を迎える者が満五九才定年以降再雇用となる場合の賃金の取扱いを次のとおりとする。

〈1〉 再雇用契約締結時の本給は定年直前の能率加給、特地手当、家族手当の合計額の八〇%と定年直前の本給の合計額とする。

〈2〉 再雇用期間中は通勤手当、住宅手当、生産奨励金以外の手当は支給しない。

〈3〉 賞与については原則として、組合員平均支給率の八〇%を基準に、本人の成績等を勘案して決定する。

〈4〉 昇給については原則として、組合員平均昇給率の八〇%を基準に、本人の成績等を勘案して決定する。

六、適用および実施

全組合員に適用し、実施日は昭和五七年四月一日からとする。

昭和五七年四月一日

光洋精工株式会社

取締役社長 井村栄三

全国金属労働組合光洋精工支部

中央執行委員長 喜田敏夫

(別紙2) 退職慰労金支給規定

第1条(目的)

この規定は社員就業規則の定めにより社員の退職慰労金の計算、決定ならびに支払方法に関する事項を定める。

第2条(適用範囲)

この規定は社員就業規則に定める社員に適用する。

ただし、この規定で定める勤続期間が二年未満である社員および懲戒解雇された社員には適用しない。

2 管理職についてはこの規定を基本に別に定めるものによる。

第3条(算式)

退職慰労金の計算は次の算式による。

基礎賃金×勤続支給率×事由別支給率

(細則)計算結果生ずる一〇〇〇円

未満の端数は切り上げる。

第4条(基礎賃金)

基礎賃金は本人給、職能給、加給、業績給、家族手当の一部および役職手当の一部の合計額とし、次により決定する。

〈1〉基礎賃金は社員の退職日または満五五才に達した日の属する月の直前三ケ月の実績平均とする。

〈2〉基礎賃金算定該当月の実績賃金額が当該月の所定賃金月額に満たないときはその所定賃金額をもって当該月の賃金月額とし、前号の平均額を算定する。

〈3〉家族手当の一部および役職手当の一部とはそれぞれ別表一および別表二によるものとする。

(細則)営業マンの営業マン業績給については基礎賃金に算入せず一般の業績給金額相当額を算入するものとする。

第5条(勤続支給率)

勤続支給率は第6条で定める勤続期間の計算によって得られる勤続期間に応じて別表三によるものとする。

第6条(勤続期間)

勤続期間の計算は次の各号の定めによる。

〈1〉勤続期間の起算は本採用日とし、社員の退職日までの期間を勤続期間とする。

〈2〉勤続期間に一年未満の端数がある場合は月割りをもって計算し、一ケ月未満は一五日以上を切り上げ、一五日未満を切り捨てる。

〈3〉休職中の期間は勤続期間に算入しない。ただし、労働組合の専従者であった期間、会社の指示により留学した期間および別に定めたときはこの限りではない。

〈4〉試用期間を定めて雇用された者がその期間満了後引続き勤務するときは試用期間も勤続期間に算入する。

〈5〉関係会社等より転籍受入した社員の勤続期間は原則として転籍前会社等での勤続期間を算入する。ただし、転籍前会社等で転籍時本人に退職慰労金を支払った場合はこの限りではない。

〈6〉定年退職者および満五五才以降、満六〇才の間の本人希望による退職者の臨時員期間の取扱いについてはその期間が一年以上であるときは臨時員期間から一年を差し引いた期間を勤続期間に算入する。

〈7〉勤続期間五年以上の女子が自己都合により退職する場合も前〈6〉号を準用する。

第7条(事由別支給率)

事由別支給率は次の各号の定めによる。

〈1〉定年退職のときは一二〇%

〈2〉満五五才以降、満六〇才までの間の本人希望による退職については定年退職とみなし一二〇%

〈3〉業務上の死亡および業務上の負傷または疾病により勤務に耐えざるために退職するときは一二〇%

〈4〉社員が当社の役員に就任するときは一二〇%

〈5〉社員が会社の都合により他の会社等へ転籍するときは一二〇%

〈6〉会社の都合により社員を解雇するときは勤続期間に応じ次による。

勤続五年未満 一三〇%

勤続五年以上一〇年未満 一四〇%

勤続一〇年以上一五年未満 一五〇%

勤続一五年以上 一六〇%

〈7〉社員が死亡したとき、または業務外の疾病、負傷により再就業不能となったときおよび休職期間満了により退職するときは一二〇%

〈8〉社員が自己都合(第〈1〉号~〈7〉号に該当しない事由)により退職するときは勤続期間に応じ次による。ただし、勤続期間五年未満の女子社員が結婚により退職するときは五〇%とする。

勤続五年未満 四五%

勤続五年以上一〇年未満 五五%

勤続一〇年以上一五年未満七〇%

勤続一五年以上二〇年未満八〇%

勤続二〇年以上 九〇%

(細則)第〈5〉号における退職金の支払いは原則として転籍先会社で実際本人支給時に転籍先会社が当社における勤続期間を通算して算定のうえ支給する。ただし、転籍先会社で役員に就任するときは転籍時に支給する。

第8条(支払い日)

退職慰労金は原則として会社を退職する日の属する月の末日より二ケ月以内に支給する。

第9条(支払い方法)

退職慰労金は直接本人に対し通貨、小切手もしくは銀行振り込みにより支払う。

ただし、本人が死亡した場合は労災法の定めによる受取人に支払う。

2 別に定める退職年金規約に基づく年金制度の加入者で退職時の勤続期間が二〇年以上の社員については退職慰労金の一部を退職年金規約により支給する。

別表1~3(略)

別紙 3 定年延長回答 別表

別表1 段階延長方式

〈省略〉

別表2 定年延長後の賃金の取り扱い

〈省略〉

別表3 その他,人事上の取り扱い

〈省略〉

参考 今回の提案内容と再雇用制度の比較(略)

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